売却を断られることも!?「告知事項」や「物件の不具合」で揉めないための不動産売却対策
「この家、雨漏りしたことがあるけど売れるの?」
「過去に家族が亡くなったことは買主に伝えないといけない?」
「古い家だから、売却後に不具合が見つかったらどうしよう……」
不動産を売却するとき、売主様が悩みやすいのが「告知事項」と「物件の不具合」です。
できるだけ高く売りたいと思えば、マイナスになりそうな情報は言いたくないと考えてしまうかもしれません。
しかし、売却時に知っている不具合や重要な事情を適切に伝えず、引渡し後にトラブルになると、結果的に売主様の負担が大きくなる可能性があります。
不動産売買では、単に「売れればいい」という考え方ではなく、売却前に物件の状態を整理し、買主様に適切な説明を行い、契約内容に正確に反映することが重要です。
今回は、雨漏り・シロアリ・建物の傾き・設備故障などの物理的な不具合から、過去の人の死などの告知事項まで、不動産売却で揉めないための具体的な対策を分かりやすく解説します。
1.「告知事項がある=売れない」ではありません
まず知っておきたいのは、
「告知事項がある物件=売却できない物件」ではない
ということです。
不動産には、築年数・立地・価格・建物状態など、それぞれ異なる特徴があります。
例えば、
● 雨漏りの修理歴がある
● シロアリ被害の履歴がある
● 給湯器などの設備に不具合がある
● 建物が古い
● 過去に人が亡くなっている
● 境界や越境について確認が必要
● 土地や建物について買主に説明すべき事情がある
このような事情があったとしても、正確な情報を整理した上で販売方法や価格を設定すれば、売却できる可能性は十分にあります。
むしろ問題になるのは、告知事項そのものよりも、
「売主様が把握している情報を不動産会社に伝えないこと」
です。
売却を依頼する段階で、少しでも気になることがあれば、不動産会社へ伝えておきましょう。
2.契約不適合責任とは?
不動産売却で特に注意したいのが、契約不適合責任です。
契約不適合責任とは、簡単にいうと、引き渡した不動産が契約で合意した内容に適合していない場合に、売主側が一定の責任を負う制度です。
例えば、
「雨漏りはありません」
と説明して契約したにもかかわらず、引渡し後に雨漏りが発生し、契約内容と異なる状態だったことが分かった場合などが問題になる可能性があります。
国土交通省の資料でも、契約不適合責任について、修補などの追完、代金減額、損害賠償、契約解除などが整理されています。
そのため、
「売った後のことだから関係ない」
とは考えないことが大切です。
3.不具合を隠して売るのが危険な理由
売却前から知っていた不具合を伝えずに売却すると、後から問題になる可能性があります。
代表的なのが、
● 雨漏り
● シロアリ被害
● 建物の傾き
● 基礎や外壁の問題
● 配管の漏水・詰まり
● 給排水設備の不具合
● 屋根の破損
● 過去の修繕履歴
● 土地・擁壁などに関する問題
などです。
例えば、以前雨漏りが発生して修理したものの、その事実を売主様が不動産会社に伝えずに売却したとします。
引渡し後に買主様が雨漏りを発見すると、
「売却前から知っていたのでは?」
という話になり、トラブルへ発展する可能性があります。
だからこそ、「昔のことだから言わなくてもいい」と自己判断しないことが重要です。
4.売却前に不動産会社へ伝えておきたい「物件の不具合」
売却相談の段階で、次のような情報をできるだけ整理しておきましょう。
●雨漏り
現在雨漏りしている場合だけではありません。
過去に雨漏りがあり、
● いつ発生したか
● どこから雨漏りしたか
● 修理したか
● どの会社が修理したか
● 修理費はいくらだったか
など、分かる範囲で伝えましょう。
●シロアリ
シロアリ被害や防蟻処理の履歴があれば、資料を確認しておくと安心です。
●設備の故障
給湯器、エアコン、換気扇、食洗機、トイレ、浴室など、設備に不具合がある場合も重要です。
●建物の傾き・ひび割れ
「少し傾いている気がする」
「以前、専門家に指摘された」
といった情報も、不動産会社に伝えてください。
●修繕・リフォーム履歴
屋根、外壁、浴室、キッチン、給排水管などの修繕履歴は、買主様にとっても判断材料になります。
マイナス情報だけではなく、修繕した情報も売却時の重要な材料です。
5.「人が亡くなった」場合はどうなる?
不動産売却で特に相談が多いのが、いわゆる心理的瑕疵・事故物件に関する告知です。
ここで注意したいのが、
「人が亡くなった=すべて同じように告知する」
という単純なルールではないことです。
国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表しています。
このガイドラインでは、例えば、自然死や日常生活の中での不慮の死については原則として告げなくてもよいケースが整理されています。
一方で、買主様から事案の有無について質問された場合や、社会的影響の大きさなどから買主様が把握しておくべき特段の事情がある場合などは、告知が必要となることがあります。
つまり、
「何年前なら絶対に言わなくていい」
と売主様だけで判断するのは危険です。
亡くなった場所、死因、発見状況、経過年数、事件性の有無、買主様からの質問など、具体的な事情によって判断が変わるため、まず不動産会社へ正確に伝えることが大切です。
6.「売れ残るのが怖いから隠す」は逆効果
告知事項を伝えると、
「買主が見つからなくなるのでは?」
と心配になる方もいらっしゃいます。
しかし、最も避けたいのは、
隠して売る → 後から発覚する → 契約後にトラブルになる
という流れです。
売却価格を少し調整する必要があるケースでも、
最初から情報を開示して、納得した買主様に購入してもらう
ほうが、結果的に安全な取引につながります。
不動産売却では、
「高く売ること」だけではなく、「トラブルなく売り切ること」も重要な成功条件です。
7.古い家・不具合のある家を売却する3つの方法
では、古い家や不具合のある家は、どのように売却すればよいのでしょうか。
代表的な方法は3つあります。
①仲介で売却する
一般の買主様を探して売却する方法です。
立地や土地の価値が高い場合、建物に不具合があっても、
「建物をリフォームして住みたい」
「土地として活用したい」
という買主様が見つかる可能性があります。
そのため、最初から「古いから売れない」と決めつける必要はありません。
②現状のまま売却する
古い家の場合、
「売主様がリフォームしてから売る」
という方法が必ずしも正解とは限りません。
リフォーム費用をかけても、その費用を売却価格にすべて上乗せできるとは限らないためです。
そのため、
現状渡し+適切な価格設定
という売却方法も選択肢になります。
ただし、現状渡しだからといって、知っている不具合を何でも隠してよいわけではありません。
契約内容と告知事項を明確に整理することが重要です。
③不動産会社による買取を利用する
一般の買主様を探す仲介ではなく、不動産会社などに直接買い取ってもらう方法です。
買取の場合、
● 古い家
● 空き家
● リフォームが必要な家
● 残置物が多い家
● 売却を急いでいる家
などでも相談しやすいケースがあります。
一方で、仲介と比べて売却価格が低くなる可能性もあるため、
「仲介」と「買取」の両方を比較して判断する
ことが重要です。
8.インスペクションを活用する方法もある
「建物の状態がよく分からない」
という場合には、インスペクション(建物状況調査)を検討する方法があります。
専門家による調査を活用することで、建物の状態を把握しやすくなります。
特に、
「築年数が古いから買主様に不安を持たれそう」
という住宅では、建物状態を客観的に確認することが、売却時の説明材料になる場合があります。
ただし、インスペクションを実施したからといって、すべての不具合が発見されるわけではありません。
調査の範囲や内容を理解した上で活用することが大切です。
9.「契約不適合責任免責」なら何でも安心?
古い住宅の売買では、契約内容として契約不適合責任の範囲を調整するケースがあります。
ただし、
「免責特約を書けば、売主様はどんな場合でも責任を負わない」
と考えるのは危険です。
契約内容や売主・買主の属性、売主様が不具合を知っていたかどうかなどによって、法的な扱いが変わる可能性があります。
したがって、
「免責にすれば100%大丈夫」ではなく、何を免責するのか、何を告知するのかを契約前に確認すること
が重要です。
不動産会社と司法書士・弁護士などの専門家が必要に応じて連携し、適切な契約内容を検討することが安心につながります。
10.売却前にやっておきたい「告知事項チェックリスト」
売却相談をする前に、次の項目を確認してみましょう。
● 雨漏りしたことがある
● シロアリ被害があった
● 建物に傾きがある
● 外壁や基礎に大きなひびがある
● 給排水管に問題がある
● 給湯器などの設備が故障している
● 過去に大規模な修繕をした
● 境界について問題がある
● 越境について指摘されたことがある
● 土地・建物について近隣とのトラブルがある
● 建物内で人が亡くなったことがある
● 事件・事故などについて知っている
● 過去に不動産会社や専門家から指摘を受けた
● その他、買主様が購入判断をする上で気になると思う事情がある
1つでも該当する場合は、
「これは言わなくてもいいかな?」と自己判断せず、不動産会社へ相談する
ことをおすすめします。
11.実は「告知事項」は査定価格にも影響することがある
告知事項や建物の不具合がある場合、
「いくらで売れるのか」
も気になるところです。
しかし、単純に
「不具合があるから相場の半額」
というものではありません。
例えば、
● 駅から近い
● 土地面積が大きい
● 人気エリアにある
● 建物を解体して土地として利用できる
● リフォームによって再生できる
● 投資用として活用できる
など、プラスの要素もあります。
つまり、
不具合だけを見て価格を決めるのではなく、土地・建物・立地・需要・再利用方法などを総合的に判断すること
が重要です。
12.「売却を断られた」ときも別の方法がある
不動産会社に相談したところ、
「仲介では難しい」
「買主が見つかりにくい」
と言われることもあります。
しかし、
「売却できない=不動産に価値がない」
とは限りません。
例えば、
● 仲介ではなく買取を検討する
● 建物ではなく土地として売却する
● 古家付き土地として販売する
● 価格を見直す
● ターゲットとなる買主を変える
● リフォームせず現状で売る
● 解体後の土地価格を比較する
など、売却方法を変えることで可能性が広がる場合があります。
重要なのは、
1つの売却方法だけで判断しないことです。
13.不動産売却で一番大切なのは「最初の情報共有」
不動産売却でトラブルを防ぐために、売主様にお願いしたいことがあります。
それは、
「知っていることを最初に全部話す」
ことです。
「こんなことを言ったら査定価格が下がるかもしれない」
「こんなことを話したら売却を断られるかもしれない」
そう考えてしまうのは当然です。
しかし、売主様が知っている情報を最初に共有してもらえれば、
その情報を前提に売却戦略を考えることができます。
逆に、売却途中や契約直前になって重要な事実が判明すると、販売条件の見直しや買主様への説明が必要になり、スムーズな売却が難しくなることがあります。
14.加古川市・高砂市・播磨町・稲美町・姫路市で不動産売却をご検討の方へ
不動産売却では、
「高く売れるか」だけでなく、「安全に最後まで売れるか」
という視点が非常に重要です。
特に、
● 築年数が古い
● 雨漏りの履歴がある
● シロアリ被害がある
● 空き家になっている
● 相続した実家である
● 建物内で人が亡くなっている
● 長期間修繕していない
● 売却後の責任が心配
● 他社から売却を断られた
という不動産は、一般的な住宅とは違った売却戦略が必要になる場合があります。
だからこそ、売却前に物件の事情を正確に整理することが重要です。
私は不動産業界で28年、これまで1,000件を超える売買に携わってきました。
現場では、きれいで条件の良い物件だけではなく、
「この家、どうやって売ればいいのだろう?」
という難しいご相談にも数多く向き合ってきました。
告知事項や不具合があるからといって、最初から諦める必要はありません。
仲介・買取・現状渡し・土地としての売却など、物件に合わせて選択肢を検討することが大切です。
まとめ|告知事項や不具合は「隠す」のではなく「正しく整理する」
今回のポイントをまとめます。
● 告知事項があるからといって、必ず売れないわけではない
● 知っている不具合は自己判断で隠さず、不動産会社へ伝える
● 契約不適合責任は契約内容と密接に関係するため、契約前の確認が重要
● 人の死に関する告知は、事案の内容や経過、質問の有無などを踏まえて判断する
● 「免責特約=すべての責任がなくなる」とは限らない
● インスペクションによって建物状態を把握する方法もある
● 仲介だけでなく、買取という選択肢もある
● 古い家・不具合のある家でも、土地価値や立地などを含めて売却方法を考える
そして何より大切なのは、
「売却前に正しい情報を整理しておくこと」
です。
不動産のマイナス要素を隠すことが、売主様にとって一番安全な方法とは限りません。
むしろ、
最初に正直に伝える → リスクを整理する → 適切な売却方法を選ぶ → 契約内容に反映する
という流れを作ることが、トラブルを防ぐ近道です。
「雨漏りした家でも売れる?」
「事故物件になっているかもしれない」
「古い家なので売却後の責任が心配」
「他の不動産会社に売却を断られた」
そんな場合でも、まずはご相談ください。
不動産売却は、物件の弱点を隠すことではなく、その弱点を含めて最適な売却方法を考えることが重要です。
加古川市・高砂市・播磨町・稲美町・姫路市など東播磨・西播磨エリアで不動産売却をお考えの方は、秘密厳守でご相談を承ります。
「売れるか分からない」という段階でも問題ありません。
まずは現在の不動産の状態を一緒に整理することから始めましょう。